看護留学生支援 研究成果 Q&A

科研費研究(課題番号 19K00744)の成果をもとに、看護系大学で留学生を指導する先生方のためのQ&Aをまとめています。各Q&Aには引用元論文を明記しています。

看護実習記録には、どのような語彙が使われているのですか?

Q: 看護実習記録には、どのような語彙が使われているのですか? A: 名詞が中心で、記録の種類(様式・項目)によって特徴的な語彙が大きく異なります。 手本となる看護実習記録を語彙の観点からコーパス分析した研究によると、以下のことが明らかになっています。 品詞構成 品詞 割合 名詞 約44% 助詞 約27% 動詞 約15% 看護実習記録は名詞基調の文体であることが示されています。 記録様式・項目ごとの特徴語 様式・項目 特徴的な語 S(主観的データ) 「ています」「いますよ」などのアスペクト表現(患者の言葉を直接記録) O(客観的データ) 「mg」「錠」「dL」「kg」など数値・単位 A(アセスメント) 「セルフ」「ケア」「摂取」「必要」など解釈・判断を示す語 観察計画(O-P) 「呼吸」「口腔」「状態」「脈拍」 ケア計画(C-P) 「介助」「倦怠」「声かけ」 教育計画(E-P) 「説明」「摂食」「歯磨き」 教育への示唆 記録の種類・項目によって品詞分布や特徴語が異なるため、項目ごとに書き方を区別して指導することが有効です。 名詞基調で書く項目とそうでない項目を区別して教えることで、看護記録らしい文体の習得につながります。 特徴語を中心に語彙指導教材を構成することが推奨されます。 引用元 [P1] 山元一晃・浅川翔子(2021)「看護実習記録に用いられる語彙の特徴の分析」『社会言語科学』第23巻第2号、pp. 67–80. DOI: https://doi.org/10.19024/jajls.23.2_67

SOAP記録のS・O・Aでは、それぞれどのような表現を使うのですか?

Q: SOAP記録のS・O・Aでは、それぞれどのような表現を使うのですか? A: S・O・Aでは使われる表現パターンが明確に異なります。特にAでは「必要がある」「可能性がある」などの判断表現が特徴的です。 手本となる看護実習記録書籍のSOAP形式アセスメント部分をn-gram分析した研究によると、以下のことが示されています。 S(主観的データ)の特徴的な表現 アスペクト形式「テイル」を含む連鎖が特徴的 例:「ています」「ようにしています」「いますよ」「ていますが」 患者が習慣的に行っていること・心がけていることを記録する際に多用される 患者の言葉をそのまま引用するため、話し言葉的な表現が現れる O(客観的データ)の特徴的な表現 数値・単位を含む連鎖が最も特徴的 例:「mg 錠 日 分」「kg 時 kg 時」「meq 回 分」「身長 cm 体重 kg」 「行っている」も特徴度が高く、患者の動作を客観的に記述する際に使われる Sとは対照的に、客観的・数値的な情報の記載が中心 A(アセスメント)の特徴的な表現 解釈・判断を表す表現が特徴的 「必要がある」「可能性がある」「していく」「することが」 「ていること(が/で)」「セルフケアレベル」 5-gramでは 「ていく必要がある」 が顕著 形式名詞「こと」「から」を用いた論理的な記述が出現 S・Oではほぼ用いられない接続詞も一定程度使用される 指導への示唆 記録項目 指導のポイント S アスペクト表現「テイル」の使い方を指導(習慣・継続を表す用法) O 数値・単位の書き方のルールを確認させる A 「必要がある」「可能性がある」などのアセスメント特有の表現を明示的に指導する S・Oでは記録形式の表現に従いますが、Aでは根拠を示しながら判断するという独自の文体があります。この違いを意識させることが指導の要点です。 引用元 [P4] 山元一晃・浅川翔子・加藤林太郎(2022)「手本となる看護実習記録の「情報収集」から「アセスメント」への展開における短単位n-gramと対数尤度比を用いた特徴的な表現の分析」『金城学院大学論集 人文科学編』第18巻第2号、pp. 236–243. [P1] 山元一晃・浅川翔子(2021)「看護実習記録に用いられる語彙の特徴の分析」『社会言語科学』第23巻第2号、pp. 67–80. DOI: https://doi.org/10.19024/jajls.23.2_67

看護師国家試験のカタカナ語は、どう指導すればいいですか?

Q: 看護師国家試験のカタカナ語は、どう指導すればいいですか? A: 国家試験特有のカタカナ語の大半(約76%)は一般の日本語教育語彙表に掲載されておらず、専門的なカタカナ語の追加学習が不可欠です。 看護師国家試験(第101〜108回)のテキストをコーパス分析した研究によると、以下のことが明らかになっています。 国家試験におけるカタカナ語の概要 指標 数値 分析対象語数(延べ) 133,804語 カタカナ語の割合(延べ) 5.4%(4,386語) カタカナ語の割合(異なり) 12.6%(918語) 国家試験に特徴的なカタカナ語 207語 日本語教育語彙表との対照 特徴的なカタカナ語207語のうち、「日本語教育語彙表 Ver. 1.0」に掲載されているのは49語のみ(23.7%)。 つまり、特徴的なカタカナ語の約76%(158語)は一般の日本語教育では扱われていません。 特に頻度・特徴度が高いカタカナ語の例 医療・看護に特有の語が中心です。 カテゴリー 主な語 測定単位 デシリットル、ミリグラム、キログラム 医療器具・処置 カテーテル、ドレーン、チューブ、ストーマ 検査・状態 バイタル、アセスメント、スケール、サイン 症候・診断 シンドローム、チアノーゼ、アシドーシス、イレウス 薬剤・物質 インシュリン、アルブミン、ホルモン、ビタミン、ナトリウム、カリウム、ビリルビン、ステロイド リハビリ・体位 リハビリテーション、ファウラー 指導の段階的アプローチ 第一段階:「日本語教育語彙表」掲載のカタカナ語を確認・整理する 第二段階:国家試験に特有の専門カタカナ語(207語)を優先的に学習させる 第三段階:語種(英語由来・医学用語由来・略語など)に応じた指導法を工夫する 日本語カバー率の目安 中級後半までの語を習得することでテキストの約98%をカバーできる 99%のカバー率達成には、上級後半以降の語すべて+国家試験特有のカタカナ語102語の追加学習が必要 「日本語教育語彙表」掲載語をすべて習得しても99%のカバー率は達成できない 引用元 [P7] 山元一晃(2023)「看護師国家試験における特徴的なカタカナ語の様相――留学生支援での活用を目指して――」『金城学院大学論集 人文科学編』第20巻第1号、pp. 129–137.

市販の看護学生向け教材は留学生指導にそのまま使えますか?

Q: 市販の看護学生向け教材は留学生指導にそのまま使えますか? A: 市販の実習記録関連テキスト15点を調査したところ、留学生の日本語教育に必要な基準をすべて満たすものはほぼありませんでした。 市販教材を体系的に評価した研究によると、以下のことが明らかになっています。 評価基準と結果 看護教育と日本語教育の9基準で市販テキスト15点を評価しました。 基準の区分 基準の内容 看護教育(3基準) 看護記録の目的・構造・記録の種類が解説されているか 日本語教育(3基準) 形式選択の説明・形式の使い方・語句の選択の指導があるか 構成(3基準) 例文・練習問題・フィードバック機能があるか 結果: 9基準すべてを満たす教材:0点 8基準を満たす教材:1点のみ 特に日本語教育の3基準(形式選択の説明・形式の使い方・語句の選択)をすべて満たすものはゼロ 市販教材の限界 市販の看護学生向けテキストは、日本語母語話者を想定して作られており、以下の点で留学生への配慮が不足しています。 どの文体・表現形式を選ぶべきかの明示的な説明がない 記録の書き方のルールが暗黙知として前提とされている 非母語話者が犯しやすい誤りへの対応がない 語彙・表現の選択方法が体系的に教えられていない 留学生向け教材に必要な要素 研究グループが開発した教材(山元・浅川・加藤 2021)は、以下の要素を組み込んでいます。 看護記録の種類・構造・目的の説明 記録の各項目でどのような形式・語句を使うかの明示的な指示 「良い例」と「悪い例(JSL学習者がしやすいエラーを含む)」の対比 練習問題と模範解答 電子カルテ・患者プロファイルなど実際的な資料を使った課題 引用元 [P3] 山元一晃・浅川翔子・加藤林太郎(2021)「看護師を目指す留学生のためのライティング教材の開発とその活用」『金城学院大学論集 人文科学編』第18巻第1号、pp. 129–139. [P2] 加藤林太郎・山元一晃・浅川翔子(2019)「看護系留学生のためのライティング教材開発――電子カルテ等からの情報収集による課題遂行を中心に――」『早稲田日本語教育学』第27号、pp. 31–35.

留学生向けライティング教材は、どのように構成するとよいですか?

Q: 留学生向けライティング教材は、どのように構成するとよいですか? A: 看護実習の流れに沿った構成が効果的です。事前学習として活用できる課を設けることで、実習時の負担を減らせます。 研究グループが開発したライティング教材(全3部9課構成)と、その使用感調査の結果から、以下のことが示されています。 教材の全体構成(開発教材の例) 部 課 タイトル 主な内容 実習前 第1課 私の理想の看護師 看護観・目標の記述 実習前 第2課 施設情報 実習施設の情報収集と記録 実習前 第3課 行動計画 1日の行動計画の立て方と記述 実習中 第4課 患者情報の記録 電子カルテ等から患者情報を整理する 実習中 第5課 1日の振り返り 実習後の振り返り記録の書き方 実習中 第6課 看護展開 SOAPを用いた看護記録の展開 実習中 第7課 看護計画 看護計画の立案と記述 実習後 第8課 先生とのメール 指導教員への連絡文の書き方 実習後 第9課 まとめのレポート 実習全体を振り返るレポート 各課の構成要素 各課は以下の要素で構成されています。 情報源(資料)の読み取り:電子カルテ・患者プロファイル・アセスメントシートなど 記入課題:実際の様式に近い形式での記述練習 模範解答との照合 解説:書き方のルール・よくある誤りの説明 文法・語句練習 補完・発展課題 使用感調査から見えた有効な課・要素 留学生5名へのインタビュー(2021年)より: 特に役立ったと評価された課: 「行動計画」(5名全員):「実習でスムーズにできた」 「先生とのメール」(5名全員):実際の場面での活用感が高い 「患者情報の記録」(4名):「実習で思い出した」 各課の要素のうち有用性が高かったもの: 模範解答 練習問題 教材設計上の留意点 第1課「私の理想の看護師」や第2課「施設情報」は既習内容と重複したり実習との関連が薄かったりするため、重要度に応じた課の優先付けが必要 「看護展開」は実際の実習よりも易しい場合があり、難易度を実態に合わせて調整する余地がある 教材では網羅しきれないカンファレンス・患者との会話・専門用語など、ライティング以外の支援も検討が必要 引用元 [P3] 山元一晃・浅川翔子・加藤林太郎(2021)「看護師を目指す留学生のためのライティング教材の開発とその活用」『金城学院大学論集 人文科学編』第18巻第1号、pp. 129–139. ...

留学生と看護教員は、日本語教材にどのようなものを求めていますか?

Q: 留学生と看護教員は、日本語教材にどのようなものを求めていますか? A: 両者が一致して求めているのは「実習記録の書き方が学べる教材」と「実習場面での会話の教材」です。ただし専門用語教材へのニーズには大きな認識のギャップがあります。 看護留学生5名と看護教員4名へのインタビュー調査(山元・加藤・浅川 2023)から、以下のことが明らかになっています。 留学生が求める教材 教材の種類 回答者数 専門用語に特化した教材(器具名・カタカナ語など) 5名全員 実習記録の書き方が学べる教材 4名 実習場面での会話の教材 3名 学んだことを復習できる教材 1名 → 留学生は専門用語教材を最も強く求めています。 看護教員が求める教材 看護教員は以下の教材を求めていました。 実習記録の書き方が学べる教材(留学生のニーズと一致) 実習場面での会話の教材(留学生のニーズと一致) 一方、「専門用語に特化した教材」については「日本人学生も同様に学ぶものなので不要」という意見が見られ、留学生との認識のギャップが明確です。 ニーズの一致点と相違点まとめ 教材の種類 留学生 看護教員 実習記録の書き方 ◎ 求めている ◎ 求めている 実習場面の会話 ○ 求めている ○ 求めている 専門用語教材 ◎ 全員が必要と感じている △ 必要なし(日本人も同様) 指導・支援への示唆 専門用語への不安は留学生の学習意欲に直結する問題であり、たとえ看護教員側が「必要なし」と考えていても、何らかの形での語彙支援が重要です。 両者のニーズが一致する「実習記録の書き方」と「実習場面の会話」については、積極的に教材・支援を整備する価値があります。 留学生と看護教員の認識のギャップを把握した上で、カリキュラムや支援体制を設計することが求められます。 引用元 [P6] 山元一晃・加藤林太郎・浅川翔子(2023)「看護師を目指す留学生と看護教員が日本語教師と日本語の教材に期待すること――留学生・看護教員へのインタビュー調査から――」『金城学院大学論集 人文科学編』第19巻第2号、pp. 221–229.

複数大学の看護教員は、留学生の日本語課題と支援についてどのような認識をもっていますか?

Q: 複数大学の看護教員は、留学生の日本語課題と支援についてどのような認識をもっていますか? A: 7割以上の教員が留学生の日本語能力向上を認識する一方、8割以上が看護分野の日本語の難しさを指摘しています。場面によって重要な言語技能が異なり、協働学習の重要性は全員が認識しているものの、実施状況にはばらつきがあります。 複数大学の看護学部教員23名を対象にしたアンケート調査(山元・浅川・加藤 2025)から、以下のことが明らかになっています。 調査概要: 文科省「医療関係職種の養成施設」リストから抽出した303校に調査依頼。134校(44.2%)が参加意向を示し、26機関108名の協力同意を得た。最終的に38名が回答し、うち留学生への教育活動に関わっている23名を分析対象とした(2020年11月〜2021年9月実施)。 1. 留学生の日本語能力向上についての認識 回答 n (%) 強くそう思う 10 (43.5) ややそう思う 6 (26.1) どちらとも言えない 7 (30.4) あまりそう思わない 0 (0.0) まったくそう思わない 0 (0.0) → 70%以上の教員が、入学後に留学生の日本語能力が向上したと認識しています。向上の根拠として「会話力」(4名)や「実習記録・レポートの文章力」(3名)が挙げられました。一方、「どちらとも言えない」と答えた教員の多くは、入学時点での日本語力の把握ができていないことを理由に挙げており、定期的な評価の仕組みがないことが課題と言えます。 2. 留学生間の日本語能力の差についての認識 言語技能 差を感じる n (%) 差を感じない n (%) 書く能力 17 (73.9) 6 (26.1) 話す能力 15 (65.2) 8 (34.8) 聞く能力 14 (60.9) 9 (39.1) 読む能力 13 (56.5) 10 (43.5) → 特に書く能力において個人差が大きいと認識されています。いずれの技能でも半数以上の教員が留学生間の差を感じています。 3. 日本語能力と学業成績の関係についての認識 回答 n (%) 強くそう思う 9 (39.1) ややそう思う 9 (39.1) どちらとも言えない 4 (17.4) あまりそう思わない 1 (4.3) まったくそう思わない 0 (0.0) → **78.3%**の教員が「日本語能力が高い留学生は学業成績も高い」とおおむね認識しています。ただし、「日本語が得意なのに課題評価が低い」「日本語が苦手なのに評価が高い」ケースも一部(17.4%)が経験しており、日本語能力と専門的パフォーマンスは必ずしも一致しない面もあります。 ...

留学生と看護教員は、日本語教師にどのような役割を期待していますか?

Q: 留学生と看護教員は、日本語教師にどのような役割を期待していますか? A: 留学生・看護教員それぞれが期待する役割は異なり、日本語教師は両者のニーズを理解した上で役割を調整する必要があります。 インタビュー調査(山元・加藤・浅川 2023)から、以下のことが明らかになっています。 留学生が日本語教師に期待すること 期待の内容 実習場面での会話練習 レポート・記録物の書き方の指導や添削 専門用語(カタカナ語・医療語彙)の指導 不適切な日本語の指摘とフィードバック → 留学生は、専門的な学習支援と具体的な言語フィードバックを日本語教師に求めています。 看護教員が日本語教師に期待すること 期待の内容 留学生支援に関する知見の提供 自然な日本語に触れさせること 文法的に自然な文が書けるようになる指導 看護専門内容には踏み込まない範囲での支援 → 看護教員は、語学・文法面での専門的なサポートを期待しており、看護の専門的内容については日本語教師に踏み込んでほしくない、という明確な線引きがあります。 一致点と相違点 期待の種類 留学生 看護教員 文法・表現の添削・フィードバック ◎ ◎ 専門用語の指導 ◎ △(看護専門内容には踏み込まないでほしい) 看護専門的な内容の指導 ○(一部期待) × (不要) 両者の期待が一致する点は「文法的に正確な日本語が書けるようにする指導・添削」です。 日本語教師として実践できること この研究から示された示唆として、日本語教師は以下の役割を担うことが現実的で有効です。 文章の正確さ・自然さの確認と添削 記録様式・レポートの書き方(形式・表現の選択)の指導 実習場面の会話練習(ロールプレイなど) 看護専門語彙の一覧提供・語彙学習の支援(専門知識の判断は看護教員に委ねる形で) 留学生・看護教員双方のニーズを把握した上でのコーディネート 引用元 [P6] 山元一晃・加藤林太郎・浅川翔子(2023)「看護師を目指す留学生と看護教員が日本語教師と日本語の教材に期待すること――留学生・看護教員へのインタビュー調査から――」『金城学院大学論集 人文科学編』第19巻第2号、pp. 221–229.

看護教員と日本語教師はどのように連携すればよいですか?

Q: 看護教員と日本語教師はどのように連携すればよいですか? A: 教材開発や指導において役割を明確に分担しながら、定期的に打ち合わせを行う協働体制が有効です。 研究グループが教材開発を通じて明らかにしたことと、インタビュー調査の結果から、以下のことが示されています。 教材開発における役割分担の例 研究グループが実践した分業体制: 担当者 役割 看護教員A 看護教育的に正確な「良い見本(模範解答)」の作成 日本語教員B JSL学習者が犯しやすいエラーを含む「悪い見本」へのリライト 日本語教員C 解説・改善点のコメント・練習問題の作成 → この分業により、看護教育の正確性と日本語教育の視点の両方を教材に盛り込むことができます。 連携のポイント 定期的な打ち合わせ:教材開発・授業設計の各段階で看護教員と日本語教員が協議する場を設ける 役割の明確化: 看護専門知識・看護記録の正確さ → 看護教員が担当 日本語表現・文法・非母語話者への配慮 → 日本語教師が担当 留学生・看護教員双方のニーズを共有する:認識のギャップを埋めるためのコミュニケーションが重要 なぜ連携が必要か 市販教材の分析(山元・浅川・加藤 2021)でも明らかなように、看護教育と日本語教育の視点を単独で両立させた教材は存在しません。そのため: 看護教員だけでは「日本語教育的な配慮(誤りへの対応・形式の明示的説明)」が難しい 日本語教師だけでは「看護実践に即した教材内容・看護記録の正確さ」を担保できない → 両者の専門性を持ち寄ることが、質の高い留学生支援の基盤になります。 連携のステップ(実践例) 1. 留学生のニーズ調査(どの場面・スキルで困っているか) 2. 看護教員のニーズ調査(どのような支援を日本語教師に期待するか) 3. ニーズの共有と支援目標の合意 4. 役割分担を明確にした教材開発・授業設計 5. 実施後の振り返りと改善 引用元 [P3] 山元一晃・浅川翔子・加藤林太郎(2021)「看護師を目指す留学生のためのライティング教材の開発とその活用」『金城学院大学論集 人文科学編』第18巻第1号、pp. 129–139. [P2] 加藤林太郎・山元一晃・浅川翔子(2019)「看護系留学生のためのライティング教材開発――電子カルテ等からの情報収集による課題遂行を中心に――」『早稲田日本語教育学』第27号、pp. 31–35. [P6] 山元一晃・加藤林太郎・浅川翔子(2023)「看護師を目指す留学生と看護教員が日本語教師と日本語の教材に期待すること――留学生・看護教員へのインタビュー調査から――」『金城学院大学論集 人文科学編』第19巻第2号、pp. 221–229.